募集・採用 採用者選択の自由

2017年7月30日by sharou

Q1誰を採用するか、会社は自由に決めることができるのですか?

A、「採用の自由」は広く認められていますが、いくつかの法律によって一定の制限が有ります。

解説
憲法22条(営業の自由)、憲法29条(財産権の不可侵)により、会社は原則として「採用の自由」が認められます。しかし、下記内容については、採用の際に制限があります。

制限がある内容

1,性別を理由とする募集・採用差別
2,年齢制限を設けた募集・採用差別
3,労働組合から脱退することを条件とするような募集・採用差別

性別を理由とする募集・採用差別

(1)直接差別
性別を理由とする募集・採用差別は、男女雇用機会均等法で禁止されています(均等法5条)。

(2)関節差別(実質的に性差別につながる内容)
身長、体重、体力に基準を設定したり、総合職の募集・採用で転居を伴う転勤を要件とすることは、合理的な理由がなければ、実質的に性差別につながるため禁止となります。

年齢制限を設けた募集・採用差別

募集・採用のときに年齢制限をつけること(例えば30歳以下歓迎)は、雇用対策法によって原則として禁止となっています(雇用対策法10条)。

労働組合の参加を制限するような募集・採用差別

労働組合から脱退すること、または採用後に労働組合に加入しないことを条件とする黄犬契約は、労働組合法によって禁止されています(労組法7条1項)。

思想や信条を理由とした募集・採用差別

採用の際に限って、思想・信条等による差別は禁止されておりませんので、原則として認められることになります。
ただし、雇い入れ後に、思想・信条等による差別をした場合、労働基準法により禁止となります。(労基法3条)

具体的な対応策

思想・信条など法律上、禁止されていない採用差別についても、場合によっては民法90条(公序良俗)に反し違法である(民法709条不法行為にあたる)とされる可能性があります。
そのため、実務としては不用意な理由による差別は行わない方が宜しいと考えます。